本の蟲
本の蟲になるのが夢だった。
大人になったら本屋や図書館に通って
毎日読書三昧できる身分になりたかった。
この世のあらゆることが知りたかったのだ。
そのうちにネットサーフィンなんて情報収集方法が現れてしまった。
知りたいことが素早く見つけられるのはいいが、
出版社という関所がない分、各記事の信憑性はいかほどのものか。
なにより、ページをめくるときの、本の持つ時間のにおいがしない。
本の虫、英語も独語も同じ言葉、
仏語・西語・伊語では図書館のねずみというらしい。
インターネット読みはなんと言うのだろう。
蜘蛛の巣の綱渡り者とか。
横の糸を歩くと致命的だな。