ファーストクラス

 

ここしばらくは飛行機に乗れていないので

妙な緊張はしなくて済んでいるが、

それでも飛行機は大好きで乗りたくて仕方がない

 

カナダの航空機だった時に

席のモニターの調子が悪く映画が何度も途切れて見られなかった

バンクーバーまでの直行便だったので時間もあり、

周囲のほとんどが就寝中に何度も客室乗務員へ手伝ってもらっていた

 

どうしても埒があかないので、

とうとう年配の客室乗務員がこっちおいでってな感じで呼んでくれた

 

ファーストクラスの席だった

 

映画見たいでしょ

いいわよ

 

ホント?

ありがとう!

 

足伸ばしてアメニティもらって

映画を何本も観た

 

朝食時にはファーストクラスの朝食が出てきた

ホントにいいのかとまた確認した

食器は陶器でグラスは足付きだった

 

 

あの親切で判断力があって権限を持たせてもらえていた

客室乗務員の姿はずっと覚えている

 

 

 

いまさっき調べたら、片道98万円だった

 

 

 

 

 

 

 

僕の鼻は高い

 

シャワーの下で上を向いたら鼻に湯が入る

 

石鹸の泡が入った時にはモゥ、

鼻腔奥の目の裏近くがヒリヒリヒリヒリ

 

 

でもこれまでに鼻を高くしたことはない

 

いや、高くできたことはない

 

ピノキオのように伸ばしたこともない

 

 

鼻の下はしょっちゅう延びてるが

 

 

 

 

Hard-Rock Life

 

ハードロックカフェに行ってきた

 

 

その昔、

ニューヨークまでアンカレッジ経由で飛んでいた頃、

世界中のハードロックカフェに行くのが目標だった

 

いつか世界で活躍したい、

ニッポン人だけどアメリカン・ドリームを叶えたい、

本気でそう思ってがむしゃらに行動していた

 

落書きだらけの地下鉄でマンハッタンを

ユダヤ人のパンのベーグルで朝食を

見上げると少しだけの空に吸い込まれた摩天楼の足元を

 

なぜだか急に思い出した

 

その時の自分はどうしてそこに居られたのだろう

 

 

今宵、カクテルを飲んだそのカフェは、

うちから歩いて行ける距離にあった

 

 

僕はこれから何を目指せばいいのだろう

 

 

そういえば飛行機はアンカレッジで

給油が必要だったんだな

 

 

ちなみに、hard と rock の間にハイフンを入れると、

アメリカの俗語で音楽ジャンルではない意味になる

 

 

 

 

本の蟲

 

本の蟲になるのが夢だった。

 

大人になったら本屋や図書館に通って

毎日読書三昧できる身分になりたかった。

この世のあらゆることが知りたかったのだ。

 

そのうちにネットサーフィンなんて情報収集方法が現れてしまった。

知りたいことが素早く見つけられるのはいいが、

出版社という関所がない分、各記事の信憑性はいかほどのものか。

 

 

なにより、ページをめくるときの、本の持つ時間のにおいがしない。

 

 

本の虫、英語も独語も同じ言葉、

仏語・西語・伊語では図書館のねずみというらしい。

 

インターネット読みはなんと言うのだろう。

蜘蛛の巣の綱渡り者とか。

 

横の糸を歩くと致命的だな。